CDリリース記念リサイタル ヴィヴァルディとその周辺 2018.11月

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CD「イグナツィオ・ジーバー リコーダーソナタ全6曲」リリース記念 
小池耕平リコーダーリサイタル
〜ヴィヴァルディとその周辺〜

小池耕平 リコーダー
 山本 徹 チェロ 鴨川華子 チェンバロ

2016年に行ったリサイタル「イタリアの道」作曲家別シリーズ第6回で取り上げた Ignazio Sieber のソナタ全曲を収録したCDの発売を記念したリサイタルを、東京、富山、大阪、福岡の4カ所で行います。
2016年のズィーバー全曲演奏の時の通奏低音はチェンバロ鴨川華子だけでしたが、録音およびこのたびのリサイタルツアーではバロックチェロの山本徹も参加しています。

2016年の全曲演奏の時にも大きな驚きをもって迎えられた Sieber のソナタでした。今回は彼が影響を受け、また影響を与えたヴィヴァルディ Vivaldi との関連をお聴きいただくプログラムです。

ヴィヴァルディは多くのコンチェルトにリコーダーを登場させ大活躍させていますが、リコーダーのための独奏ソナタはたったの2曲しか確認されていません。へ長調 RV52 とト長調 RV806 です。RV52 は実際には楽器指定は記されておらずメロディーの音域や調性からリコーダー用と推定されているもので、RV806 の方は ヴァイオリンソナタ ニ長調 RV810 を移調して筆写されたもので、その移調ももしかしたら横吹きフルートのためだったのかもしれません。「これぞヴィヴァルディのリコーダーソナタだ!」と胸を張って言いにくい2曲ですが、演奏会のプログラムに乗せられる機会も少なく、実演に接したことがある方も多くないでしょう。

ジーバーについては、以前の全曲演奏会の際の井上亨さんの解説文「ズィーバーという作曲家を知っていますか」をお読みいただくとヴィヴァルディとの関連がお分かりいただけると思います。彼はヴィヴァルディが指導していた養育院ピエタで管楽器を教えていた音楽家でした。6曲残されているジーバーのリコーダーソナタには、ヴィヴァルディの作品を元ネタにしたものの他、当時の大ヴァイオリニスト、コレッリのような作風のものやヴェラチーニの曲とほぼ同一の曲もあります。

この演奏会では、ヴィヴァルディの作品を元にしたソナタ7番(所収されている曲集の7番めからがジーバー作品なのです。実際にはこの7番がジーバーの1番にあたります)イ短調と、コレッリの作品と言われても納得してしまいそうな9番ハ長調の2曲のソナタを取り上げます。いずれもリコーダーに超絶技巧を要求する難曲です。

ジーバーのソナタ11番ハ長調はヴェラチーニ作曲のヴァイオリンまたはリコーダーのためのソナタ5番とほぼ同一の曲なのです(上記リンクの井上亨氏の解説参照)。ジーバーの方はCDでお聴きいただくとして、今回はヴェラチーニの5番のソナタを取り上げます。この両者のソナタの違いはわずかとはいえ、ヴェラチーニの方が曲のバランスが良く完成度が高いと小池は思います。

そして、ヴィヴァルディに関連するソナタといえば、今やフランスのシェドヴィルの作だということが史料から明らかになっている「忠実な羊飼い」です。私が子供の頃は「なんだかヴィヴァルディぽくない曲も入ってるけど、本当にヴィヴァルディが作ったのかなあ?」とみんな思っていたんですけどね。ところが1989年に「実はこれはシェドヴィルが作曲したんです」という宣誓書が発見されてしまったのです。今や、元ネタの曲があるものはそれが何なのか調べ尽くされてさえいます。ヴィヴァルディ関連の作品を取り上げるならばこれは外せないでしょう。今回演奏するのは第6番ト短調です。

そして、当時のヴァネツィアでヴィヴァルディと敵対していたマルチェッロもお聴きいただきます。マルチェッロの本職は法律家で政治家だったのですが、「趣味で」作曲をして作品を出版し、音楽批評も手がけていました。ヴィヴァルディとは全く異なる端正な作風で、玄人以上の内容を持った作品を残しています。

Program
A.ヴィヴァルディ
 リコーダーソナタ ト長調 RV806 
 リコーダーソナタ へ長調 RV52
I.ジーバー
 リコーダーソナタ 第7番 イ短調 
 リコーダーソナタ 第9番 ハ長調 
F.M.ヴェラチーニ 
 リコーダーソナタ 第5番 ハ長調 
N.シェドヴィル 
 ヴィヴァルディの「忠実な羊飼い」ソナタ第6番ト短調 
B.マルチェッロ 
 チャッコーナ(リコーダーソナタ へ長調 作品2の12より)

11月2日(金)19:00開演 
東京オペラシティ近江楽堂
前売4000円/当日4500円

ご予約・お問合せ:
オフィスアルシュtel.03-3565-6771


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# by flauto_diritto | 2018-11-05 19:00 | Flauto diritto | Comments(0)

【先行公開】2018.8.8プリズム・バロック解説文

バロック音楽は1600年頃のイタリアでのオペラの創作とともに始まりました。16世紀末からフィレンツェで古代ギリシャの音楽劇を蘇らせるための試みがなされており、それが音楽の様式に大きな変革をもたらしたのです。中世以降のヨーロッパでの「作曲」は複数の音の流れを組み合わせて作品を作ること(いわゆる「ポリフォニー」)でしたが、歌によって物語を伝える音楽劇のために単独のメロディーの歌を単純な伴奏が支える形で曲が作られるようになったのです(これは「モノディー」と名付けられました)。そしてそのメロディーは歌詞のもつ情感を音として聴かせるように作られ、伴奏は低音のラインに弾くべき和音を数字で記した通奏低音となりました。この新たな音楽は「新様式」や「第二作法」などと呼ばれ、以前からのポリフォニー「旧様式」「第一作法」と対置されましたが、17世紀以降もポリフォニーは捨て去られることはなく、音楽の多様性は増して行くことになりました。また歌詞の内容が音によって表わされるようになると、様々な音形が意味を待つものとして蓄積されていくことになりました。

17世紀初頭には楽器のための独奏曲も作られるようになります。器楽曲も歌曲と同様の様式で作られましたから、歌詞を持たない器楽曲も情感や情景などの意味を表し聴く人の情緒に訴えるものになりました。器楽曲には「ソナタ Sonata 」あるいは「カンツォーナ Canzona」などという題名がつけられました。「ソナタ」という言葉は当初は特定の形式に則って作られた曲のことではなく、イタリア語の「Sonare(=奏でる)」からきた、楽器で演奏するための作品という意味でしたし、「カンツォーナ」は文字通り楽器で演奏する「うた」ということです。


では、本日演奏する曲を、国別に時代順に見ていきましょう。まずはイタリアの初期バロックからです。


フォンターナ(1571?-1630?)は17世紀初頭のイタリアのヴァイオリン奏者で、死後に出版された一冊のソナタ集の楽譜だけによって知られています。1600年代前半のソナタは様々な部分が切れ目なくつなぎ合わされた単一楽章で作られています。フォンターナのソナタ第3番は前の時代のカンツォーナと同じく「長・短・短」の同音反復のメロディーによる疑似ポリフォニーで始まります。ルネサンス時代のカンツォーナは歌詞の内容に関わらずこのリズム形で始まるのがお約束でした。この後このソナタは舞曲のような3拍子の部分、ヴァイオリンの技巧を聴かせる早いパッセージ、オペラで主役が歌うアリアのようなメロディーと進み、それが順次逆転して最初と同じカンツォーナのメロディーで終わる、というアーチ型の構成になっています。


初期バロックのイタリアでは、ルネサンス時代の有名歌曲を楽器で演奏することも広くおこなわれました。ゼロから新たに器楽曲を作るよりも既にあるみんなが知っている名曲を使う方が簡単でしたし、聴いている人へのウケも良かったかもしれません。その際、元のメロディーラインに細かな装飾を施しながら演奏するのが常でした。現在英語で「ディミニューション Diminution」と呼ばれるリズムを細分化していくこの技法は、変奏曲に繋がっていくことになります。 

オランダのファン・アイク(1589?-1657)のリコーダー曲集「笛の楽園」(初版1644)には当時の流行歌や賛美歌などを元にした150曲ほどの変奏曲が所収されています。「ダフネ」はその当時流行した歌曲にディミニューションの手法によって作られた変奏曲が3つつけられていて、変装が進むにつれて細かいリズムの音形になっていきます。


ヴィヴァルディ(1678-1741)がまず本領を発揮したのは様々な楽器のためのコンチェルトでした。それは彼がヴェネツィアの養育院ピエタで仕事をしていたためで、ピエタではそこで音楽の訓練を受けた女子たちが妙技を披露するコンチェルトがウリの演奏会が開かれていたのです。そのためにヴィヴァルディは様々な楽器のために作曲しました。RV92のコンチェルトは通奏低音無しのリコーダー、ヴァイオリン、ファゴットまたはチェロのためのいかにもヴィヴァルディらしい曲です。両端の急速楽章はスポーティーでリズミック、ふたつの高音楽器がそれぞれのキャラクターを生かした独奏部分で技巧を聴かせ、低音のチェロも縦横無尽に駆け回ります。間に挟まれるゆったりした第2楽章ではチェロが奏でる付点音符のリズムの上にヴァイオリンとリコーダーがのびやかに歌うように掛け合いを繰り広げます。


ジェミニアーニ(1687-1762)は北イタリアのルッカ出身のヴァイオリン奏者で、イギリスに渡って活動しました。当時ヨーロッパで最も有名で尊敬された偉大なヴァイオリニストにして作曲家であったローマのコレッリ Corelli に師事したジェミニアーニは、ロンドンで一躍脚光を浴びて様々な演奏活動を繰り広げただけではなく、自分が作曲した曲を出版し様々な教則本も著しました。それらは自分の楽器ヴァイオリンのためのものだけではなく、本日お聴きいただくチェロのためのソナタや、通奏低音の教則本、ギターのための教則本など多岐に渡っています。また、彼はアイルランドに渡ってその地の音楽の独特の美しさに感化されて、ケルト音楽の演奏のための教則本も残しています。

1746年に出版されたジェミニアーニのチェロソナタ集は、この時代には低音の伴奏楽器とみなされていたチェロのための独奏曲で、当時のチェロ奏法の限界まで駆使するように書かれています。幅広い音域を用いながらもメロディックな第1楽章、凝った主題によるフーガ風の第2楽章、短い橋渡しの第3楽章を経て技巧的で舞曲風の第4楽章で締めくくられます。

1749に出版された「音楽芸術の良い趣味での取り扱い A Treatise of Good Taste in the Art of Musick 」はケルト音楽の奏法の教則本で、スコットランド歌曲への装飾法やスコットランド歌曲を題材にした器楽曲が掲載されています。ジェミニアーニはケルト音楽をイタリアとフランスと並んで音楽の3大様式とまで言うほどに高く評価していました。スコットランド歌曲をもとにトリオ・ソナタに作られた曲が3曲収められており、その第1番はふたつの歌曲をもとにしたものです。


この時代の文化の最先端を走る国イタリアに対抗して、ルイ14世時代のフランスは自国ならではの音楽様式を作り上げました。17世紀後半に王宮の音楽組織のトップに立ったリュリ Lully によってフランス語の特性を生かすように作られていったフランス様式は、歌うような音楽というよりは語るような音楽、メロディー性よりも和音の変化を重視した音楽、奏者に自由な装飾を許すのではなく定型の細かい装飾の約束がある様式をもった音楽になりました。また、国王ルイ14世のダンス好きの影響もあって、多様な舞曲をつらねた「組曲」も愛好されました。

フランソワ・クープラン(1668-1733)はパリの音楽家一族クープラン家の中で最も有名な鍵盤楽器奏者で作曲家。1722年に出版された「王宮のコンセール」には4曲のコンセールが収められています。この曲集はクープランがルイ14世のために他の色々な楽器の国王の音楽家たちと演奏していた曲をまとめたもので、1724年には続編にあたる「新コンセール集」も出版されました。コンセールとは「合奏曲」のことですが、楽器指定はされておらず様々な規模でいろいろな楽器の組み合わせでで演奏することができます。コンセール第3番はプレリュードの後に定番の6つの舞曲が連なる大規模な組曲です。本日は楽章ごとに楽器編成を変えてお聴きいただきます。


18世紀のドイツは文化的後進国でしたが、それゆえに新たに自国の音楽様式を作るのではなく、イタリア風の音楽をベースにフランスの音楽のエッセンスを取り入れ混ぜ合わせていました。

テレマン(1681-1767)とバッハ(1685-1750)は同世代で同じ地域で活動し親交もありました。テレマンの方は超人気作曲家で国外でも高く評価されていました。聖職者の息子で大学では法律を学んだ一方、多種多様な楽器の演奏も作曲もほぼ独学で身につけたテレマンはある種の天才だったといえるでしょう。通常は彼のトリオ・ソナタは、ふたつの旋律楽器が主従関係なく対等に渡り合い、通奏低音も伴奏に徹するのではなく独自の立場を持って参加してくるように書かれています。ところがこのイ短調のトリオ・ソナタの第1楽章では珍しく旋律はリコーダーだけに任され、ヴァイオリンはオーケストラの第2ヴァイオリンのごとく独特な情感を持ったリズム形だけを奏して黒子に徹し、通奏低音は八分音符だけの純粋な伴奏役を担わされています。第2楽章ヴィヴァーチェは各パートが切り結び血湧き肉躍るポーランド風。初任地がポーランド領だったテレマンはこういうスラヴ風の音楽を得意にしていました。長調に転じた伸びやかな第3楽章では3つのパートが穏やかな流れのメロディーを投げかけあいます。最終第4楽章はリコーダーとヴァイオリンが同じメロディーを2小節ずれてカノンのように奏するメヌエットで、中間部は通奏低音が休止した二重奏になっています。テレマンはかっちりした構成のトリオ・ソナタも数多く作曲しましたが、この曲はなんと自由でおおらかな造りのなのでしょうか。


ヨハン・セバスチアン・バッハはテレマンとは異なり、同時代には熱心な信奉者がいた一方世間の評価は決して高くはない、どちらかというとマニアックで職人気質の音楽家でした。テレマンを聖トーマス教会の楽長として招聘しようとして断られたライプツィヒ市が「仕方なく」バッハを招聘したのは有名な逸話です。職業音楽家一族に生まれたJ.S.バッハは17世紀のドイツ音楽の伝統を遵守しつつ、最先端のイタリアやフランスの音楽の要素も取り入れる先進性もありました。彼はみずから浄書した6曲のオルガン・ソナタを長男ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの教育用に使ったと言われています。2つの手鍵盤とひとつの足鍵盤のために書かれたこれらのソナタは、2つの旋律楽器と通奏低音のためのトリオ・ソナタあるいは2つの独奏楽器をもった二重協奏曲のような形で書かれており、既に18世紀から他の楽器の合奏用に様々な編曲がなされていました(モーツァルトによる編曲もっっl0あります)。BWV529は第5番のソナタで、元のハ長調からヘ長調に移調編曲したものをお聴きいただきます(F.Matter編曲Amadeus版)。曲の作りはバッハの他のコンチェルトと同様のものです。第1楽章はヴィヴァルディと同様のリトルネッロ形式で、テーマ部分からリコーダーとヴァイオリンはリズミックな掛け合いで始まりソロにあたる部分では流麗なラインを投げ掛け合います。第2楽章はヌメヌメとした質感のメロディーが淡々とした低音の上に絡み合う濃厚な時間。第3楽章はバッハお得意のフーガがコンチェルトに融合した形。

バロック音楽の時代はバッハの死をもって終わりとされます。その晩年「フーガの技法」によってポリフォニー音楽を集大成しようとし、「ロ短調ミサ」によって教会音楽に大きなまとめをつけようとしていたように見える J.S.バッハは、時代の最後を生きたバロック音楽の巨人と言っていいかもしれません。

 


小池耕平 KOIKE Kohei [Recorder]

福岡市生まれ。福岡県立修猷館高等学校卒業。九州大学文学部西洋史学科卒業。大学在学中から演奏活動を始める。桐朋学園大学音楽学部研究科(古楽器科リコーダー専攻)を1989年に修了。日本各地においてリコーダーのソリストとしてまたバロック室内楽アンサンブルで演奏会を行なっている。また小学校の訪問演奏活動も続けている。2007年ヴァイオリンのジーン・キムと韓国公演。2009年東京リコーダー音楽祭(読売新聞社主催)では 8人のリコーダー・ソリストの一人として選ばれ出演。2010年ロンドンのヘンデルハウス博物館でヘンデルのリコーダーソナタ全曲演奏。長らく東京を拠点にしていたが2016年秋より福岡在住。NHK文化センター福岡リコーダーアンサンブル講師。まなびすと春日リコーダーアンサンブル講師。福岡古楽協会リコーダーアンサンブル講師。富山古楽協会リコーダー講師。

 使用楽器

 ソプラノ・リコーダー

  van Eyckタイプ、平尾リコーダー工房、a=466Hz、楓、2011

  E. Tertonモデル、譜久島譲、a=415Hz、黄楊、1999

 アルト・リコーダー

  G管、Hotteterreモデル、li Virghia=415Hz、黄楊

  F管、Bressanモデル、木下邦人、a=415Hz、エボニーと象牙、1996

 ヴォイス・フルート(D管テナー)、J. C. Dennerモデル、譜久島譲、a=415Hz、楓、


竹嶋祐子 TAKESHIMA Yuko [Baroque Violin]

福岡県に生まれる。桐朋学園女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部を卒業。ヴァイオリン・室内楽を久保田良作、天野晴司、山根美代子、数住岸子の各氏に師事。レンク国際アカデミーにてシャンドール・ヴェーグ氏に師事。「バッハ・コレギウム・ジャパン」のカンタータ全曲録音プロジェクトや国内外での公演を始め、「オーケストラ・リベラ・クラシカ」「レ・ボレアード」などのオーケストラや室内楽で活動し、各地の音楽祭や芸術祭にも参加している。「アンサンブル朋」メンバー。


山本庸子 YAMAMOTO Yoko [Cembalo]

福岡県出身。福岡女学院高等学校卒業。東京藝術大学音楽学部古楽科(チェンバロ)卒業及び同大学院修士課程修了。チェンバロを鈴木雅明・三橋桜子・辰巳美納子、オルガンを早島万紀子、フォルテピアノを小倉貴久子、アンサンブル及び通奏低音を小島芳子・鈴木秀美・若松夏美の各氏に師事。2010年よりフランスのストラスブール音楽院にて、チェンバロをアリーン=ジルベライシュ、室内楽をマルタン=ジェステール、通奏低音をフランシス=ジャコブの各氏に師事。2011年にオーストリアバロックアカデミーにて特賞を受賞、また「Turigi」のメンバーとしてブルージュ古楽音楽祭・ユトレヒト古楽音楽祭に出演。2013年に帰国後は福岡女学院メサイア、Ensemble14他多数の公演に参加、各地で活動を展開している。


山本徹 YAMAMOTO Toru [Baroque Cello]

東京藝術大学、同大学院古楽専攻及びチューリヒ芸術大学修了。チェロを土肥敬、河野文昭、北本秀樹、鈴木秀美、ルール=ディールティーンスの各氏に師事。東京藝術大学バッハカンタータクラブにて小林道夫氏の指導のもと研鑽を積む。「バッハ・コレギウム・ジャパン」「オーケストラ・リベラ・クラシカ」をはじめ主要な国内外のオリジナル楽器オーケストラのメンバーとして定期公演・録音・海外ツアーに多数参加している。2006年第20回国際古楽コンクール<山梨>第2位、2008年第16回ライプツィヒ国際バッハ・コンクール第2位。2011年ブルージュ国際古楽コンクール審査員賞、及びファン・ヴァッセナール国際コンクール優勝。



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# by flauto_diritto | 2018-08-08 19:05 | Flauto diritto | Comments(0)

プリズム・バロック 演奏会 2018.8.8


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8月8日(水)には「プリズム・バロック」演奏会を、ホテル日航福岡「チャペル プリエール」にて開催します。


歪んだ真珠「バロック」が放つ音楽の光を、3種類の楽器で分光して様々な色に響かせるプリズム・バロックの演奏会。


 木の管に息の流れが通りぬけて響く木管楽器リコーダー

 羊腸ガットの弦を馬の尾の毛を張った弓で弾く弦楽器ヴァイオリンとチェロ

 薄い木のボディーに張られた細い金属弦を鳥の羽の軸の爪で弾く鍵盤楽器チェンバロ


異なる3つのタイプの楽器の組み合わせが、3面のガラスのプリズムのように、

バロックというひとつの時代の音楽から虹のように多彩な響きを生み出します。


毎回、国や年代の異なる作品をヴァラエティ豊かに取り上げる「プリズム」の演奏会ですが、

今回のプログラムは、イタリア、フランス、ドイツという大国の音楽のほかに、スコットランドやオランダの曲も取り上げます。


2018.8.8(水)18:30開場 19:00開演

ホテル日航福岡新館3階「チャペルプリエール」

812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目18-25

前売4000円 当日4500


チケットはこちらから購入できます(イープラス)。


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flauto_diritto@excite.co.jp

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プログラム

G. Ph. テレマン : トリオ・ソナタ イ短調 TWV42:a1

G. B. フォンターナ : ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ長調

A. ヴィヴァルディ : コンチェルト ニ長調 RV92

F. クープラン : コンセール 第3番 イ長調

F. ジェミニアーニ : スコットランド歌曲によるソナタ 第1番

         : チェロソナタ 第2番 ニ短調 Op.5-2

J. ファン・アイク : ダフネ美しき娘

J. S. バッハ : トリオ・ソナタ 第5番 へ長調 BWV529 (オルガン・ソナタ第5番)


小池耕平 KOIKE Kohei [Recorder]

福岡市生まれ。福岡県立修猷館高等学校卒業。九州大学文学部西洋史学科卒業。大学在学中から演奏活動を始める。桐朋学園大学音楽学部研究科(古楽器科リコーダー専攻)を1989年に修了。日本各地においてリコーダーのソリストとしてまたバロック室内楽アンサンブルで演奏会を行なっている。また小学校の訪問演奏活動も続けている。2007年ヴァイオリンのジーン・キムと韓国公演。2009年東京リコーダー音楽祭(読売新聞社主催)では 8人のリコーダー・ソリストの一人として選ばれ出演。2010年ロンドンのヘンデルハウス博物館でヘンデルのリコーダーソナタ全曲演奏。長らく東京を拠点にしていたが2016年秋より福岡在住。NHK文化センター福岡リコーダーアンサンブル講師。まなびすと春日リコーダーアンサンブル講師。富山古楽協会リコーダー講師。


竹嶋祐子 TAKESHIMA Yuko [Baroque Violin]

福岡県に生まれる。桐朋学園女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部を卒業。ヴァイオリン・室内楽を久保田良作、天野晴司、山根美代子、数住岸子の各氏に師事。レンク国際アカデミーにてシャンドール・ヴェーグ氏に師事。「バッハ・コレギウム・ジャパン」のカンタータ全曲録音プロジェクトや国内外での公演を始め、「オーケストラ・リベラ・クラシカ」「レ・ボレアード」などのオーケストラや室内楽で活動し、各地の音楽祭や芸術祭にも参加している。「アンサンブル朋」メンバー。


山本庸子 YAMAMOTO Yoko [Cembalo]

福岡県出身。福岡女学院高等学校卒業。東京藝術大学音楽学部古楽科(チェンバロ)卒業及び同大学院修士課程修了。チェンバロを鈴木雅明・三橋桜子・辰巳美納子、オルガンを早島万紀子、フォルテピアノを小倉貴久子、アンサンブル及び通奏低音を小島芳子・鈴木秀美・若松夏美の各氏に師事。2010年よりフランスのストラスブール音楽院にて、チェンバロをアリーン=ジルベライシュ、室内楽をマルタン=ジェステール、通奏低音をフランシス=ジャコブの各氏に師事。2011年にオーストリアバロックアカデミーにて特賞を受賞、また「Turigi」のメンバーとしてブルージュ古楽音楽祭・ユトレヒト古楽音楽祭に出演。2013年に帰国後は福岡女学院メサイア、Ensemble14他多数の公演に参加、各地で活動を展開している。


山本徹 YAMAMOTO Toru [Baroque Cello]

東京藝術大学、同大学院古楽専攻及びチューリヒ芸術大学修了。チェロを土肥敬、河野文昭、北本秀樹、鈴木秀美、ルール=ディールティーンスの各氏に師事。東京藝術大学バッハカンタータクラブにて小林道夫氏の指導のもと研鑽を積む。「バッハ・コレギウム・ジャパン」「オーケストラ・リベラ・クラシカ」をはじめ主要な国内外のオリジナル楽器オーケストラのメンバーとして定期公演・録音・海外ツアーに多数参加している。2006年第20回国際古楽コンクール<山梨>第2位、2008年第16回ライプツィヒ国際バッハ・コンクール第2位。2011年ブルージュ国際古楽コンクール審査員賞、及びファン・ヴァッセナール国際コンクール優勝。







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# by flauto_diritto | 2018-08-08 19:00 | Flauto diritto | Comments(0)

Cafe [ Robinia Hill ] ライヴ 2018. 7. 7 (土)

Cafe [ Robinia Hill ] ライヴ


福岡市営地下鉄「室見駅」から少し歩いたカフェ「ロビニア・ヒル」でリコーダーを演奏するのも3回目になります。


7月7日(土)には

「イタリアの光、イギリスの影」

リコーダーとリュートによるバロック音楽


と題して、1600年頃のイタリア音楽と1700年頃のイギリス音楽をお届けします。


今回はリュート奏者の太田耕平との共演で、「ダブル耕平」です。すずやかに響くリュートと しみじみとに鳴るリコーダーでの演奏です。


イタリアでオペラの創作とともに始まったバロック音楽は、楽器のために独奏曲が作られるようになった時代でもあります。1600年代のイタリアの音楽は演劇性と強いエネルギーで聴く人に訴えかけます。1700年頃のイギリスの音楽は同時代の他の国の音楽には無いしめやかさで心に染み込んできます。


201877日(土) 

 〔昼の部〕1330開場、1400スタート 3000円(お菓子、1ソフトドリンク付)

 〔夜の部〕1730開場、1830スタート 3500円(食事、1ソフトドリンク付)


 *各回25席限定


 *アルコール類は別途料金


場所:Robinia Hill  福岡市早良区南庄6-6-7 BRUNO102


*スペースの関係上、事前にご予約ください。


*専用駐車場がございませんので、恐れ入りますが、車でお越しの方は近隣のコインパーキングをご利用ください。


*ご予約・お問い合わせ:Robinia Hilll 太田まで(090-8352-2171


プログラム


1600年頃のイタリアの音楽

D. カステッロ:ソナタ 第1番 Dario Castello : Sonata Prima

G. B. フォンターナ:ソナタ 第2番 Giovanni Battista Fontana : Sonata Seconda

F. ロニョーニ:パレストリーナの「野や山は花のにぎわい」によるディミニューション Francesco Rognoni : Vestiva i colli

B.デ・セルマ:カンツォーナ 第3番 Bartolome de Selma : Canzona Terza


1700年頃のイギリスの音楽

「ディヴィジョン・フルート」より:グリーンスリーヴス

 from Division Flute : Greensleeves

A. パーチャム:ソロ ト長調 Andrew Parcham : Solo G major

F. バルサンティ:スコットランド歌曲集より Francesco Barsanti : Scots tunes

H. パーセル:私を泣かせてください Henry Purcell : O let me weep





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# by flauto_diritto | 2018-07-07 18:30 | Flauto diritto | Comments(0)

ホテル日航福岡チャペルプリエールでの演奏会


福岡に転居して1年半近く経ちました。今年からようやく福岡でも本格的な演奏活動をすることになりました。


まず最初は、ホテル日航福岡の「チャペルプリエール」https://www.hotelnikko-fukuoka.com/banquet/hall/chapel.htmlでパイプオルガンとチェンバロとの共演です。

オルガンとチェンバロを演奏するのはチャペルのディレクター池田泉氏。

ご存知の方も多いでしょうが、このチャペルの内装は美しいゴシック教会の様式で、素晴らしいパイプオルガンが設置されておりチェンバロも常設されています。


今回のプログラムは有名作曲家ヴィヴァルディとヘンデルを中心にお届けします。

ヴィヴァルディは2曲のコンチェルト、陰鬱なメロディーと超絶技巧のパッセージの対比をもつハ短調RV441と鳥の鳴き声を模した天真爛漫な「ごしきひわ」。ヘンデルのヘ長調のリコーダーソナタはリコーダーが本来持っている穏やかな性格を十全に引き出した佳曲、そして元々は大編成な野外音楽でラッパや太鼓が大活躍するきらびやかな「王宮の花火の音楽」をリコーダーとパイプオルガンの二人の奏者で。

そのほか、リコーダー独奏で17世紀初頭の大ヒット歌曲による変奏曲「涙のパヴァーヌ」、オルガン独奏ではルイ14世時代のフランスの天才鍵盤楽器奏者 F. クープランのミサ曲より。


詳しくは以下のページからご覧ください。






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# by flauto_diritto | 2018-05-13 13:30 | Flauto diritto

プリズム・バロック 演奏会

プリズム・バロック

2016年7月7日(木)
19:00開演(18:30開場)
東京オペラシティ「近江楽堂」
前売4500円 (当日4500円)
東京オペラシティチケットセンター(電話03-5353-9999)
東京古典楽器センター(電話03-3952-5515)

リコーダー、ヴァイオリン、チェンバロのトリオの演奏会です。

バロック時代の3つの国の音楽、
バロック音楽が生まれたイタリアの清新の気あふれるソナタ
ルイ14世の統治下で独特の優雅さを育んだフランスの合奏曲
他の国々の良い点を取り入れて緻密な構成力で独自の音楽を作ったドイツ
を、3種類のタイプの違う楽器の組み合わせでお届けします。

バロックという一つの光から溢れ出す虹のように多彩な音楽をおたのしみください。

ヴァイオリンの竹嶋祐子とチェンバロの外川陽子は同時期に桐朋学園で学んだ仲間です。卒業後それぞれ別に活動をしていましたが、この組み合わせで久々の共演です。

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追記

プリズム・バロックのプログラム、チラシ掲載の曲目に数曲加えて以下のようになりました。
2曲目のスコットランド歌曲によるトリオソナタは珍しいと思います。ケラーも実演ではなかなか聴けませんね。ベームのチェンバロ曲と合わせて3曲追加になりましたが、そのためにオトテールの組曲はパッサカイユのみの抜粋にいたしました。

1 : G. P. チーマ/3声部のソナタ

2 : F. ジェミニアーニ/スコットランド歌曲によるソナタ

3 : G. ケラー/3声部のソナタ 変ロ長調

4 : G. ベーム/アルマンドとサラバンド (組曲 第7番 ヘ長調 より)

5 : G. Ph. テレマン/トリオソナタ イ短調 (「音楽練習曲集」より)

6 : F. クープラン/コンセール 第5番 ヘ長調 (「趣味の融合、新しいコンセール集」)

7 : J. オトテール/パッサカイユ (二重奏組曲 作品4より)

8 : J. S. バッハ/トリオソナタ ト長調 BWV525 (オルガンソナタ第1番)
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# by flauto_diritto | 2016-07-07 19:00 | 音楽 | Comments(0)

プリズムのプログラムノート

2016. 7. 7 近江楽堂


          プリズム・バロック


1 : G. P. チーマ( c.1570 - 1622 )/3声部のソナタ

  Giovanni Paolo Cima / Sonata à 3 ( from "Concerti ecclesiastici”, 1610 )


2 : F. ジェミニアーニ ( 1687 - 1762 )/スコットランド歌曲によるソナタ

  Francesco Geminiani / Air made into Sonata ( from A Treatise of Good Taste in the Art of Musick”, 1749 )

Grave ( The Broom of Cowdenknows ) - Andante ( Bonny Christy ) - Grave - Presto


3 : G. ケラー 1655 - 1704 )/3声部のソナタ

  Godfrey Keller / Sonata No.5 à 3 ( from 8 Sonates à3 parties", 1700 )


AdagioAllegroAdagioAllegroAdagio - Allegro - Adagio - Allegro


4 : G. ベーム ( 1661 - 1733 )/アルマンド、サラバンドとドゥーブル

  Georg Böhm / Allemande, Sarabande & Double ( from Suite no. 7 F major )


5 : G. Ph. テレマン( 1681 - 1767 )/トリオソナタ イ短調 TWV42:a4

  Georg Philipp Telemann / Trio Sonata A minor TWV42:a4 ( Trio no. 5 from "Essercizii musici”, c.1740 )


Largo - Vivace - Affetuoso - Allegro


ーーーーー(休憩 20分)ーーーーー


6 : F. クープラン( 1668 - 1733 )/コンセール 第5番 ヘ長調

  François Couperin / Concert no. 5 F major ( from "Les Goûts reunis, Nouveaux Concerts”, 1724 )


Prélude ( Gracieusement ) - Allemande ( Gayement, et les croches égales )

  - Sarabande grave - Gavotte ( Courantment, et croches égales ) - Muséte dans le goût de Carillon )


7 : J. オトテール ル・ロマン( 1673 - 1763 )/パッサカイユ ニ短調

  Jaques Hotteterre le Romain / Passacailles ( from Première Suitte de Pièces a deux Dessus, sans Basse Continue "Op. 4, 1712 )


8 : j. S. バッハ( 1685 - 1750 )/トリオソナタ ト長調 BWV525 (オルガンソナタ第1番)

  Johann Sebastian Bach / Trio Sonata G major BWV525 ( Organ Sonata no. 1 )


( Allegro ) - Adagio - Allegro


ーーーーー


歪んだ真珠「バロック」の放つ光を3種類の楽器で分光して様々な色を奏でるプリズム・バロックの演奏会。


バロック音楽は大きく3つの流れに乗っている。ひとつは1600年頃からオペラを創出し音によって感情を表現する新しい音楽を作ったイタリア、もうひとつはルイ14世の統治下で先進国イタリアに対抗して独自の優美さを形作ったフランス、そしてイタリアとフランスの特質を取り入れつつ緻密な構成力で次代につながる音楽を発展させたドイツ。初期には相入れなかったイタリア音楽とフランス音楽もバロック後期になるとそれぞれの趣味を融合した新たな発展をも見せ、ヨーロッパ辺境の異国趣味までも取り込む。


本日のプログラム1曲目は、まさにバロック音楽が「新音楽」として芽吹いたばかりのイタリアで作曲された教会ソナタ。短い曲ながら、変化に富み清新なエネルギーに満ち光と影のコントラスト鮮やかな、バロックの宗教画を彷彿とさせるような音楽。チーマはミラノのオルガン奏者で、1610年に出版された「教会音楽集Concerti ecclesiastici 」には45曲の声楽曲の他に数曲の器楽作品(2声のもの3曲、3声と4声のものがそれぞれ1曲づつ)が収められている。声楽用の作品は概してルネサンス的で保守的だが、器楽曲は新時代の息吹きを感じさせている。


イギリスには17世紀後半からたくさんの音楽家がヨーロッパ大陸各国から移住してきた。そのひとりケラーはドイツ系の名前であるが、ロンドンに来る前の経歴は不明である。1695年にはオルガンとチェンバロの教師として、有名なパーセルと並び称される存在となっていた。また当時ロンドン在住の有名な音楽家たちと公開演奏会で共演し、楽譜も出版されるようになる。変ロ長調のトリオソナタは当時のトップモードだったローマのコレッリのトリオソナタの強い影響下にある。


イタリアのルッカ出身のジェミニアーニもヴァイオリン奏者としてイギリスに渡って音楽活動を繰り広げた。演奏や作曲だけでなく広範囲にわたる教則本(自分の楽器ヴァイオリンに関するものだけでなく、通奏低音やギターのものまで)も著している。ロンドンでの活躍の後アイルランドにも住み、ケルト音楽に傾倒してその教則本も2種類出版している。「音楽の技法における良い趣味の報告」はそのひとつで、スコットランド歌曲に基づくトリオソナタが3曲掲載されている。本日演奏するのはその1曲目で、ふたつのスコットランド歌曲に基づいている。


J. S. バッハの一世代上の鍵盤楽器奏者 G. ベームは中部ドイツに生まれたが北ドイツのハンブルクでも学んでいる。外国文化を広く受け入れていたハンブルクで学ぶことで、ベームはフランスやイタリアの様式にも通じていた。11曲残されているベームの組曲はハンブルクで活躍していた鍵盤楽器奏者ラインケンの影響を強く受けており、またラインケンとベーム両者の音楽がその後のバッハに与えた影響も大変に大きなものがある。


ドイツ人作曲家でフランスにおいても高い名声を得たのはテレマンをおいて他にはいない。彼の音楽家としての最初の赴任地は現在のポーランド領であり、自分の音楽のベースにはポーランド趣味があると公言している。エッセルツィツィムジチに収められているイ短調のトリオソナタにも東欧風スラヴ風の色合いが強く出ている。異国趣味は後期バロックの大きな潮流のひとつだ。また、幼い頃から様々な楽器の演奏を独習したテレマンはそれぞれの楽器の特性を活かすことにも長けており、遅い楽章では独特のメランコリックさを湛え、速いテンポの楽章では燃えたぎるエネルギーで疾走する。


ヴェルサイユに勤めた鍵盤楽器奏者フランソワ・クープランは鍵盤楽器のための作品だけでなく合奏曲や声楽作品も残している。フランス趣味の特質はは和声進行にあると当時の人たちも考えていた。クープランのメロディーが魅力的かと問われて首を縦にふる人はさほど多くないと思われる。クープランに顕著なフランス音楽の美点は、不思議な官能性を湛えた和声進行と、ほんのちょっとした装飾音の色合いや微妙な長さで付けられたスラーによって引き起こされる繊細な揺らぎなどにある。「趣味の融合」と題された曲集の第1曲目、前に出版されたコンセール集からの通し番号で第5番のコンセールは、コレッリのソロソナタにも見られるのと同じく、ゆるやかなプレリュードの後に舞曲楽章が続く5楽章構

成になっている。アルマンドは装飾音モルデントが特徴的で八分音符を均等にと書かれたイタリア風の急速なもの、悲痛な表情のサラバンド、軽やかなのにメランコリックなガヴォット、と、ここまではコレッリを踏襲した楽章が並んでいるが、最後はイタリア風のジグではなくフランス趣味のミュゼット(「組み鐘Carillonの趣味による」と付記あり)である。


オトテールはフランス王室に仕えた管楽器奏者の一族で、ルネサンス型からバロック型への木管楽器の発展に大きく貢献した。「ローマ人」というニックネームを持つジャック・オトテールがイタリアに行ったことがある証拠は残っていないが、その作品にはイタリア趣味が上手に取り込まれている。フランスでは、イタリアとは異なり、通奏低音パートを持たない楽曲がたくさん作られたが、オトテールも通奏低音なしの二重奏組曲を3曲出版している。その最初の曲集である作品4の最後を飾るのは長大なパッサカイユ。悲しみを表す下降音型を基に様々なメロディーが繰り広げられる。この組曲は同じ種類の楽器(たとえば2本のフルート、あるいは2本のリコーダーなど)で演奏されることが多いが、タイト

ルページに「第二声部はヴィオールの高い音の弦で演奏しても良い」とあるため、本日はリコーダーとヴァイオリンの組み合わせで演奏する。


バッハの音楽作品を分光する試みは現代においても様々行なわれている(ジャズやロックにさえ!)が、既に18世紀からなされていたし、バッハ自身さえも行なっていた。6曲残されているバッハのオルガンソナタは、オルガンの右手と左手がふたつの旋律楽器、足鍵盤が通奏低音としてはたらく、実質的にはトリオソナタである。バッハが他のバロックの作曲家といちばん違うのはそのポリフォニー(多声音楽)性の濃さである。バッハほど徹底的にありとあらゆる場面で各声部に独立性や独自性を発揮させ、フーガやカノンを多用した人はいない。そうしたことも、ひとりで演奏するオルガンソナタをトリオ編成に分解して演奏することを容易にしている。実際、本日の編曲版も右手パートをリコーダー、左手パ

ートをヴァイオリン、足鍵盤を通奏低音としてのチェンバロに振り分けただけのものである。そして、このソナタは、2つの独奏声部をもつコンチェルトの形式で書かれてもいる。第1楽章ではテュッティのテーマのメロディーはフーガを形成し、ふたつの上声が交互にソリスティックで技巧的な音型を奏でるときにも、テーマのメロディーがその裏で奏でられる。第2楽章では粘着質で苦しみにあふれた2つのメロディーラインが永遠に終わりがこないかと思われるほどに絡み合う。第3楽章は舞曲ベースであるが、ここでもそのポリフォニーとコンチェルトの要素は遺憾なく発揮されている。



*小池耕平 (こいけ・こうへい)リコーダー

 1963年福岡市生まれ。福岡県立修猷館高等学校卒業。九州大学文学部西洋史学科(フランス近世史専攻)卒業。大学在学中から演奏活動を始める。桐朋学園大学音楽学部研究科(古楽器科リコーダー専攻)を1989年に修了。リコーダーを花岡和生に師事。有田正広、故本間正史、ワルター・ファン・ハウヴェ、故ブルース・ヘインズらのレッスンも受ける。現在、日本各地において、リコーダーのソリストとしてまたバロック室内楽アンサンブルで演奏会を行なっている。また、小学校の訪問演奏活動も続けている。2007年にはヴァイオリンのジーン・キムと韓国公演。2009年の東京リコーダー音楽祭(読売新聞社主催)では 8人のリコーダー・ソリストの一人として選ばれ出演。201011月にはロンドン

のヘンデルハウス博物館のライヴ・ミュージック・シリーズでヘンデルのリコーダーソナタ全曲演奏。故鍋島元子創設の古楽研究会オリゴ・エト・プラクティカ嘱託講師。富山古楽協会のリコーダー講師。

*竹嶋祐子(たけしま・ゆうこ)ヴァイオリン

 福岡県に生まれる。桐朋学園女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部を卒業。ヴァイオリン・室内楽を久保田良作、天野晴司、山根美代子、数住岸子の各氏に師事。レンク国際アカデミーにてシャンドール・ヴェーグ氏に師事。「バッハ・コレギウム・ジャパン」のカンタータ全曲録音プロジェクトや国内外での公演を始め、「オーケストラ・リベラ・クラシカ」「レ・ボレアード」などのオーケストラや室内楽で活動し、各地の音楽祭や芸術祭にも参加している。「アンサンブル朋」メンバー。

*外川陽子(とがわ・ようこ)チェンバロ

桐朋学園女子高等学校音楽科ピアノ科を経て、桐朋学園大学音楽学部古楽器科チェンバロ専攻卒業。ピアノを新井精、大島正泰、チェンバロを有田千代子の各氏に師事。チェンバロ音楽愛好家たちとともに作ったチェンバロの会「Veilchenファイルヒェン」を主宰、チェンバロ・ソロやアンサンブルによる発表の場を設けている。また、毎年ゲストを招いて、様々なアンサンブルによるカフェ・コンサートを企画。2015年春には「ギリシャ神話と聖書の世界」を繰り広げたソロリサイタルを開催。現在はソロ、アンサンブル奏者として、各地で活躍している。「アンサンブル朋」「デュルファール」メンバー。http://veilchen1993.web.fc2.com/



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# by flauto_diritto | 2016-07-07 19:00 | Flauto diritto | Comments(0)