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六日町

リサイタル終了後、職種を変更して 笛のオジサンと化して いろんな小学校でリコーダー吹いています。
この週は、新潟県に行きました。週の頭は糸魚川方面、残念ながら寒くて雨。
しかし、週の後半に行った南魚沼では晴れて暖かく、過しやすい気候でした。

豪雪地帯、六日町、十日町ではいまだにあちこち雪。山に雪が残っているだけでなく、田んぼも学校の校庭も一面の雪。連休明けまで残るそうです。
下の画像は、とある小学校のグランド。一面雪に覆われているのに桜は満開に近かった。
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by flauto_diritto | 2015-04-23 14:00 | | Comments(0)

「リコーダーソナタの黄金時代」のプログラムノート

リコーダーソナタの黄金時代   2015. 4. 10 近江楽堂

1:T. メルラ/ソナタ 第1番( Op. 6, 1624年 )
  T. Merula : Sonata Prima

2:G. B. ルイエ/ソナタ イ短調 作品1-1( 1710年頃 )
  G. B. Loeillet de Gant : Recorder Sonata A minor Op. 1 - 1
   Adagio - Allegro - Largo - Giga ( Allegro )

3:J. Chr. ペプシュ/ソナタ ニ短調 作品2aー2( 1709年 )
  J. Chr. Pepusch : Recorder Sonata D minor Op. 2a - 2
   Adagio - Allegro - Largo - Allegro

4:J. オトテール・ル・ロマン/組曲 変ロ長調 作品2-3( 新版 1715年 )
  J. Hotteterre ( le Romain ) : Suite Bb major Op. 2 - 3 ( New edition, 1715 )
   Prelude ( from Suite Op. 2 - 2 ) - Allemande ( La Cassade de St. Cloud サン・クルーの滝 ) -
   Sarabande ( La Guimon ラ・ギモン ) - Courante ( L’indiferante つれない女 ) & Double -
   Rondeau ( Le plaintif 悲しみ ) - Menuet ( Le mignon かわいい子 ) - Gigue ( L’Itaienne イタリア女 )

~~~ 休憩 ( 15分 ) ~~~

5:G. Ph. テレマン/ソナタ ニ短調 ( 1740年頃 )
  G. Ph. Telemann : Recorder Sonata D minor ( “ Essercizii Musici ” )
   Affetuoso - Presto - Grave - Allegro

6:I. ズィーバー/ソナタ イ短調 (第1番)( 1716年頃 )
  I. Sieber : Recorder Sonata A minor
   Preludio ( Largo ) - Corrente ( Allegro ) - Ceciliana ( Largo ) - Capricio ( Allegro )

7:G. F. ヘンデル/ソナタ ハ長調 HWV 365( 1725年頃 )
  G. F. Handel : Recorder Sonata C major HWV 365
   Larghetto - Allegro - Largo - a Tempo di Gavotto - Allegro


リコーダー:小池耕平
チェンバロ:曽根麻矢子
ヴィオラ・ダ・ガンバ:中野哲也

使用楽器
ソプラノ・リコーダー:Ganassi タイプ、楓、415Hz、平尾重治製作、1990年
アルト・リコーダー:
Th. Stanesby Sr. モデル、ツゲ、415Hz、木下邦人製作、1985年
Th. Stanesby Sr. モデル、ツゲ、415Hz、木下邦人製作、2014年
P. Bressan モデル、黒檀(エボニー)+象牙、415Hz、木下邦人製作、1996年

 バロック時代17~18世紀の器楽曲は「ソナタ」というタイトルばっかりでまことに味気ない。おしゃれなタイトルがついているのはフランスの曲ばかりで、イタリアやドイツの曲にカッコいいタイトルを持つものは珍しい。

 17世紀を迎える少し前にイタリアで初めて「ソナタ」というタイトルの曲が作られた。それは教会で演奏するための合奏曲だった。「ソナタ」というのは「Sonare」(奏でる)からきた言葉で、つまり「楽器のための音楽」ということだ。以来、様々な編成の色々な様式のソナタが作られるようになったが、初期のソナタは切れ目なく演奏される1つの曲の中に性格の異なる様々な場面がつなぎあわされたものだった。たとえば、ルネサンス時代に流行したカンツォーナのような部分、オペラの主人公のアリアやレシタティーヴォのような歌唱的なメロディー、舞曲の要素、楽器の名人芸を発揮できるような技巧的な音形、などなど。

 ソナタの誕生はバロック音楽の誕生と期を同じくしている。

 バロック音楽は16世紀末におこった古代ギリシャの音楽劇の再生に端を発している。それ以前のルネサンス期の音楽の基本はポリフォニー(同時に複数のメロディーが響きあう対位法的な音楽)であった。そこでは歌詞の内容を伝えることよりも音楽全体の調和が優先されている。対して、この音楽劇のために新たに考案されたのは、モノディーと呼ばれるひとつだけの歌のメロディーをシンプルな低音の伴奏に乗せた形である。メロディーの音形は歌詞の情感に沿ってつけられ、伴奏には低音に数字をふって弾くべき和音を示す通奏低音が発明された。これは当時「新音楽」とか「第二作法」などと呼ばれ、ルネサンスの「旧音楽」「第一作法」と対比された。この新しい作曲技法により オペラが作られたことをもって音楽のバロック時代の始まりとされている。
 そして、歌詞の内容を音によって表出しようとすることで、音形には象徴的な意味が与えられ蓄積されていった。のみならず、調性やリズムや楽器の種類など様々な音楽の要素に逐一象徴的意味合いが付与され、それらの要素が修辞学と結びつき、歌詞を持たない器楽作品においても音という言語を通して深い意味を伝えるものとなった。器楽曲「ソナタ」はオシャレなタイトルがなくとも、音楽それ自体が様々な意味内容を発信する作品だったのだ。

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 メルラ Merula はクレモナ近郊に生まれ、オルガン奏者や教会の楽長として北イタリアのいくつもの教会にオルガン奏者や楽長として勤めた。本日演奏するメルラのソナタ第1番はポーランドのワルシャワのオルガン奏者時代に出版された作品6の曲集「モテットと協奏的ソナタ第1巻」に収められている。ソプラノ楽器とバス楽器のための2声部のソナタと題されていて、これは通奏低音から独立して動くバス声部を持ったトリオソナタなのだが、残念なことにバスのパート譜が失われている。ショット Schott 社から出版されている現代譜で復元されているバス楽器のパートには不十分なところが多く、今回それを元に大幅に加筆修正した版を作って演奏する。初期バロックのソナタの典型的な教会用のソナタで、舞曲的な要素は含まれておらず、楽器で演奏される小さなミサ曲のようなおもむきさえある。

 リコーダーのためのソロソナタは18世紀になって大量に作曲され出版されるようになる。リコーダーはこの頃には1本管で円筒の内径のルネサンス・タイプから、優美な曲線のふくらみやリング状の装飾を持った旋盤細工のジョイントで複数のパーツを繋ぎ先細りの内径を持ったバロック・タイプのものになっていた。皆さんががよくご存知の形状のリコーダーは17世紀の後半に作り上げられたのだ。そして、ブルジョワ層の音楽愛好家の増大が、出版ビジネスの隆盛に伴って、リコーダーのための曲集や教則本の出版を増やすことにもなった。本日の2曲目以降はリコーダーソナタの黄金時代である18世紀前半の音楽である。

 ルイエ Loeillet はベルギーの木管楽器奏者の一族。リコーダー業界で最も有名なジャン・バチスト・ルイエはリヨン司教に仕えていた。全く同姓同名の従兄と区別するために出身地から「ガン(ヘント)のルイエ」と呼ばれている(従兄の方は「ロンドンのルイエ」)。ガンのルイエはそれぞれ12曲からなる4巻のリコーダーソナタ集を出版している。その第1巻第1番のソナタ・イ短調はリコーダーを吹く人なら必ず演奏したことがあるはずの名曲。緩~急~緩~急の4つの楽章からなる通常の構成を持つソナタで、フランス在住のベルギー人の作品なのにフランス様式の要素が全く見られない。第1楽章冒頭で通奏低音がリコーダーに先んじて最初のメロディーを演奏するのが 珍しい。

 ドイツからイギリス・ロンドンに移住してきたペプシュ Pepusch は「乞食オペラ」によってヘンデルが王立アカデミーで上演していたイタリアオペラに痛手を食らわせたことばかりが有名であるが、劇場作品だけでなく宗教曲や室内楽作品もたくさん残している。また、ロンドンで「古楽アカデミー」の設立と運営にあたり、演奏会や教育をおこなっていた。ペプシュの作品はドイツ出身であることをほとんど感じさせないほどイギリス的な音楽であることが多い。ニ短調のリコーダーソナタもそのような作品のひとつである。

 テレマン Telemann は音楽家の家系ではなかったが、親の反対にも関わらず独学で作曲を身につけ様々な楽器を独習しており、ことにリコーダーが得意であった。また、自分自身で製版して楽譜の出版もおこなっていた。様々な宮廷や教会などの楽長を勤め、最終的には自由都市ハンブルクの音楽監督に就任した。全てのジャンルに渡って膨大な数の曲を作り、確認されているだけで3,600曲以上、クラシック音楽の作品数でギネス記録保持者である。1740年頃に自分で出版した「音楽練習曲集 Essercizii Musici 」は、1738年に出版されて大評判となったスカルラッティのソナタ集として知られる「30の練習曲 Esserzici 」に影響を受けたタイトルをもった、様々な楽器のためのソロソナタとトリオソナタの曲集である。ニ短調のリコーダーソナタは、曲集のタイトルの通り、高度な演奏技術を要求する作品である。

 ヘンデル Handel もテレマンと同じく音楽一族の出ではなく、法律家になることを父から期待されていたが、領主に才能を見いだされ音楽の道へと進んだ天才少年だった。イタリア留学後にイギリス国王ジョージ1世の音楽家となったヘンデルは、イギリス到着当初はイタリア音楽の音楽家としてオペラ上演を主な仕事としていた。その頃に作曲された彼のリコーダーソナタは、チェンバロの生徒であったアン王女の通奏低音の課題にも使われた。ヘンデルはソナタ集の楽譜を当初は出版せず、写譜係に筆写させたものを販売していたようだ。その最初の出版は、ロンドンの出版社ウォルシュ Walsh がアムステルダムの出版社ロジェ Roger の名を騙って出した海賊版だった。イギリス国王の与える著作権は外国にまで効力が及ばないからだ。しかし、この版はヘンデル作でないソナタが紛れ込んでいたり楽章の抜け落ちがあったりと信憑性が乏しい。ウォルシュはその後「より正確な版」という題目を付けて、再びヘンデルの許可もなく出版し直すが、やはり内容に難ありだ。こうまでして海賊版を出すということは、ヘンデルのソナタ集が「売れる」ものだったということだ。

 ルイ14世時代のフランスでは、文化的先進国イタリアへの対抗心から、また中央集権体制を確固としたものにするためにも、フランス独自の芸術を創り上げることに熱心だった。そこではオペラは受け入れられず抒情悲劇という音楽劇が作られ、ソナタではなく舞曲を主体とした組曲が器楽曲のメインとなった。国王の舞踏好きもあって、フランスは舞曲の国だったのだ。
 オトテール Hotteterre 家は17世紀から18世紀にかけて様々な木管楽器製作、演奏、作曲に携わった一族。その中でも最も有名なジャック・オトテールは一族の他のメンバーと同じくヴェルサイユに勤務し、ローマ人(ル・ロマン)とあだ名されていた。彼が1707年に出版したフルート・リコーダー・オーボエのための教則本はベストセラーとなった。その翌年1708年に出版された作品2の組曲集には、プレリュードの後に数曲の舞曲が続く独奏楽器のための組曲が3曲収められている。それぞれの舞曲には人名や地名などのタイトルがつけられた典型的なフランスのバロック音楽である。この曲集が1715年に新たに彫版された際、旧版の第2組曲と第3組曲はそれぞれ2つに分割されて5曲の組曲となった。また、新たにたくさんの装飾記号も 付け足された。本日は、新版の第3組曲の前に第2組曲のプレリュード(これは旧版では同じ組曲のもの)を付けて演奏する。

 ズィーバー Sieber というドイツ人名前の管楽器奏者はたった1冊のソナタ集によって知られている。1716年頃にアムステルダムのロジェが出した「12のソナタ、リコーダーと通奏低音のための、最初の6曲はガリアルド氏の作品、後半6曲はローマ在住のズィーバー氏によるもの」がそれである。(ガリアルド氏はロンドンで活動したドイツ人管楽器奏者 J. E. Galliard )。ロジェはヴィヴァルディ作品の海賊出版でも知られる出版社で、このソナタ集も正しい手続きを踏んで出版されたものではないと推察される。ミラノに生まれたズィーバーは、ローマで活動しただけでなく、ヴィヴァルディも勤めていたヴェネツィアのピエタでオーボエやトラヴェルソ教師としても働いた時期がある。
 イ短調のソナタは、曲集中7番目のソナタでありズィーバー作品の第1番目のものである。第1楽章はヴィヴァルディのヴァイオリンソナタ Op. 2 - 3 を下敷きにしたもので、第4楽章はヴィヴァルディの弦楽のためのコンチェルト RV127の第3楽章によく似ている。また、第2楽章コレンテも第3楽章シチリアーナも作曲者名を知らずに聴いたら誰もがヴィヴァルディの作品だと思うだろう。ズィーバーの他のソナタもヴィヴァルディと同様の書法のものが多いが、それらがヴィヴァルディの失われた作品を元に編曲されたものなのか、ズィーバーによるヴィヴァルディ的な創作なのかは不明である。(Sieber は「ジーバー」とカナ書きされることが多いようだが、その音を嫌って「ズィーバー」と表記した。)

 作曲されたばかりの楽譜を買って演奏した18世紀当時のアマチュア・リコーダー奏者はどれほど楽しんだことだろう。いや、現代においても、どれほど沢山の人々がこれらのリコーダー音楽を聴いたり自ら演奏したりすることで楽しんでいることだろうか。これらの曲目は技術的な難度の高低にかかわらず音楽的な充実感を感じさせてくれる名曲ぞろいである。また、自ら楽器を取って演奏して楽しむ文化は深い音楽的土壌に根ざしたものである。聴く人も奏でる人も今後より一層の深さと広がりを持ってくれることを願う。     (小池耕平)


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by flauto_diritto | 2015-04-10 21:00 | Flauto diritto | Comments(0)

リサイタル2015

追加公演決定!

好評完売いたしました、4/10の「リコーダーソナタの黄金時代」は2種類の追加公演をすることになりました。

1)4/10, 15:00 - 17:00
近江楽堂でのドレスリハーサル公開。料金3,000円。

  本番と同じ衣装で、本番と同じ進行でおこなうドレスリハーサルをお聴きいただきます。この日の19:00からのチケットをお持ちの方で変更をご希望の方はその場で差額を返金いたします。
 入場券はありませんので、15時までに直接会場にお越し下さい。ご予約は不要ですが、できればこの記事のコメント欄からお名前と人数をお知らせ下さい。


2)4/11(土)16:00
世田谷区の小さなサロンでのコンサート。限定20席(完全予約制)
こちらは予約受付を終了いたしました。ありがとうございました。
  
   会費
   A : 8000円 (シャンパーニュ付き)
   B : 7000円 (ノンアルコールドリンク付き)
   C : 3500円 (中高生)


  通奏低音はチェンバロだけで追加公演いたします。
  チェンバロ常設のステキなサロンでグラスを傾けながらのひととき。
  ※必ず事前にご予約下さい。ご予約の際、A〜C(人数)をお知らせ下さい。


1)2)ともにこの記事のコメント欄からご予約を受け付けます。
お名前、人数、確認メールを受け取るEメールアドレスを明記の上、「非公開コメント」のチェックボックスにチェック☑️を入れて送信して下さい。  2)へのご予約のお客様には場所などの詳細をメールでご連絡いたします。

あるいはメールでのご予約の場合はflauto_diritto@excite.co.jpまでお願いします。

今年のリサイタルは、久しぶりに特別のテーマを持たないものです。

ここ数年、「イタリアの道」と題して、毎回1人のイタリア人作曲家を取り上げたプログラムでリサイタルをしてきました。まだまだ大勢のイタリア人作曲家が残っていてイタリアを行く旅は道の途中ですが、今回は趣向を変えて、バロック時代のリコーダー作品の多様さが垣間見えるような、多くの国の作曲家のタイプの異なるソナタを取り上げたプログラムです。つまり、「リコーダーソナタの黄金時代」である18世紀前半の音楽を概観できるプログラムにしました。

演目は、バロック音楽の王道のヘンデルとテレマンから、よほどのリコーダーマニアでも聴いたことがないかもしれないズィーバーやメルラのイタリア系のソナタ、はたまた、リコーダーを習う人が独奏曲として最初に吹くレパートリー(しかも名曲!)であるのに滅多に演奏会で取り上げられないベルギーのルイエやロンドンのペプシュのソナタまで、バロック時代の様々なリコーダー・ソナタを多面的に取り上げています。

唯一のソナタでない作品、フランスのオトテールの組曲は、昨年2014年に木下邦人によって新たに作られたオトテールの教則本にある運指表と同じ運指のアルトリコーダー(Stanesby Sr.モデル)で演奏することで、有名なこの曲に新たな光を当てます。


2015年4月10日(金)19:00開演(18:30開場)
東京オペラシティ3階「近江楽堂」

前売4000円(当日4500円)

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今回の通奏低音は、チェンバロ曽根麻矢子とヴィオラ・ダ・ガンバの中野哲也です。名人ふたりのサポートを得て、内容の濃い豪華な演奏会となるでしょう。

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by flauto_diritto | 2015-04-10 19:00 | Flauto diritto | Comments(1)