CD評

CD小池耕平 / テレマン:リコーダーソナタ全曲の批評が出揃ったので転載します。
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朝日新聞8月13日夕刊「クラシック試聴室」
○推薦盤 テレマン/リコーダー・ソナタ全曲 小池耕平(コジマ録音ALCD1059)
リコーダー界はいまや日本人が制覇したのか。先月紹介した盤[山岡重治氏のコレッリ/リコーダーソナタ集]と優劣つけがたい名演だが、それを支えるチェンバロとガンバも、息の合った一体感が見事。これぞ完璧で理想的なバロックの合奏といってもよかろう。
(金澤正剛)

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雑誌「ぶらあぼ」9月号「新譜ぴっくあっぷ」
近年になって演奏が可能になった2曲を含め、現在知られているテレマンの通奏低音付きのリコーダー・ソナタ8曲をすべて収録。小池は1963年福岡生まれで、九州大学文学部から桐朋学園大学のリコーダー専攻へと進んだ変わり種。92年から東京で毎年リサイタルを開催している。リコーダー好きが嵩じてプロの演奏家になってしまったタイプだ。思い入れの大きさが、真摯に作品へと向かわせ、その奥深くへと入り込む原動力となっていることが、ビシビシと伝わってくる。細やかに付けられていくニュアンスも美しい。人間味のある演奏が感動を呼ぶ。(堀)

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雑誌「レコード芸術」9月号
評者:皆川達夫
(準推薦)リコーダーの小池耕平さんが、ヴィオラ・ダ・ガンバの中野哲也さん、チェンバロの岩淵恵美子さんと組んで、ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681~1767)のソナタを演奏しておられる。このハンブルクの巨匠による〈忠実な音楽の師〉(1728~29年)、〈音楽練習曲集〉(1739~40年)、〈新しいソナティーナ集〉(1732頃)などから合計8曲を集め、これでテレマンのリコーダー・ソナタの全曲を網羅しているという。
 演奏はきわめて積極的で、やる気十分。リズムの切れよく、テンポ感冴え、構成力たしかに、まさに体当たりのテレマンである。小池さんは九州大学卒業の後、あらためて桐朋学園古楽器科で花岡和生さんに師事された由である。
たしかに頭の回転ははやく、作品の構成のすべてが頭脳のなかに整理され蓄積されていて、その場その場に応じて自在に展開し流動してゆくのである。しかも師匠の花岡さん譲りの誠実さ、真面目さ、手がたさが、演奏に見事に反映されている。
今年41歳、旬の男ざかりの音楽ぶりがまことに心地よい。いささか贅沢な願いをすれば、もうひとまわりの大らかさと、わきかえる愉悦感とを望みたかったとは思うものの、これはこれで立派にひとつの世界をつくり上げている。
中野さんと岩淵さんの支えも、もちろん出色のもの。小池さんの使用楽器が、平尾(山岡)重治さん製作というのもうれしい話である。近藤和彦さん執筆の解説文は、18世紀の歴史の流れのなかの音楽家テレマンの座標を的確に位置づけて、九州大学西洋史学科出身の小池さんの初CDに寄せるこよない祝辞になっている。
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評者:服部幸三
(準推薦)テレマンは自伝で言う。「小学校では普通の勉強、読み書き、教理問答、いくらかのラテン語も習った。しかし結局、いちばん得意だったのは、この世に楽譜があるなどとは露知らぬうちに、ヴァイオリン、リコーダー、ツィターなどを弾いて周りの人を喜ばせることだった」。そうして幼い頃からリコーダーが得意だったテレマンは、誰よりもリコーダーという楽器の扱い方、鳴らせ方を心得ていた。この楽器のために彼が書いた名曲は、〈リコーダーと弦楽合奏のための管弦楽組曲イ短調〉にとどめをさすが、今日8曲の作品が知られるリコーダー・ソナタも、ひとつひとつが名品である。ヘ長調のソナタのように、明るく軽やかで忘れがたい曲もあれば、ヘ短調のソナタのようにスタイリッシュな哀愁を秘め、時代を超えた美しさを持つ曲もある。
小池耕平は桐朋学園古楽器科で、花岡和生に師事した人だ。ヴィオラ・ダ・ガンバの中野哲也、チェンバロの岩淵恵美子と一緒に、テレマンのリコーダー・ソナタ全8曲を録音した。ほどよい緊張感を保ちながら、どちらかと言えば淡々と吹き進む。過度の思い入れやクセ、アクのない上質の音楽だ。アーティキュレーションやフレージングも工夫を見せながら中庸を得たもの。技術的に困難な楽章もあたかも湖面をすべるかのように見える。ただ、続けて聴いていると、テレマンの音楽にプラスして奏者自身の音楽を聞かせて欲しいという気がしてくる。その境地にもっとも近いのが、最後のニ短調のソナタだが、全体に自然に熟した味わいが出てくるのは、これからの課題ではなかろうか。
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評者:三井啓
[録音評]2003年3月、山梨県、牧丘町民文化ホールで録音。響きが美しいことで定評があるこのホールの素晴らしい響きをともなって、リコーダーのつやっぽい音色がいちだんとつやっぽく、ヴィオラ・ダ・ガンバのボディ感のしっかりとした低音にいちだんとしっかりした芯が加わり、チェンバロのよく粒立つ、透明な音色も含めて、いずれの音色も美しい。このホールの美しい響きに時を忘れたCDだ。<90~93点>

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雑誌「音楽の友」9月号
選・文:平野昭
小池耕平によるテレマン「リコーダー・ソナタ全集」が聴き物。中野のガンバ、岩淵のチェンバロと息の合った演奏。
[注:5枚選ばれたもののひとつとして]

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追加:『リコーダー通信』の大友浩氏による評
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by flauto_diritto | 2004-09-09 15:15 | 音楽 | Comments(5)
Commented by flauto_diritto at 2004-09-21 15:59
その他の批評:

忘れていました。後輩たちによる批評があったのでした。
二十歳前からの私の演奏をずっと聴いてくれている彼らに批評されるのは最もコワイことです。
(無許可転載御容赦)

●手仕事(レース編みなど)のBGMとして聴くと、
とてもはかどることを発見。特にハ長調の曲が合うようです。

●CDはリビングで聴いています。かけると必ず末っ子が寝ます(笑)
Commented by flauto_diritto at 2004-09-21 16:00
もうひとつ

●ようやく小池さんのテレマン集をゆっくり全部聴きました。
やや気恥ずかしいのですが、あまりにも素晴らしい出来なので絶賛せざるを得ません。
これまで、いろいろな演奏家のテレマンを聴きまくってきたのですが、これほどに音楽的歓びに満ち満ちたテレマン
には初めて出会えた気がします。本当に久しぶりに音楽に没入できました。
私は特に最初のヘ長調とハ長調の2曲と最後のニ短調はあらゆるテレマン演奏の中で最高ではないかと思います。

やや興奮気味なので文章がおかしいかもしれませんが、古楽に限らず(18世紀音楽はもはや古楽でないかもしれませんが)
すべての音楽愛好家の方はこのCDを入手すべきであり、特に若い学生の方々などは毎日1回は通して聴くべきでしょう。

録音も素晴らしいですし、近藤和彦氏によるコメンタリも的確で良いです。
というわけであらゆる方々にお勧めできるCDです。
Commented by flauto_diritto at 2004-09-22 22:36
あと、古楽情報誌アントレという雑誌の9月号で、朝岡聡氏(リコーダーマニアのアナウンサー)が試聴記を書いてくれているのですが、長いのでここに転載するのはやめておきます。(褒められていてむずがゆいのもあるので)
Commented by kondo at 2004-10-16 17:04 x
近藤です。
小池さんBlogやってらしたんですね。
CD、とても評判がよかったようでおめでとうございます。また、なかなか、コンサートも伺えず、不義理ばかりで申し訳ありません。本業の忙しさからまったくフォローしていなかったので、皆川さんに自分の名前を取り上げられていたなんてはじめて知りました。足を引っ張らずに済んだようでほっとしています。これからも、よかったら使ってください。
Commented by flauto_diritto at 2004-10-17 18:49
近藤さん、お久しぶりです。
今後も文章のお願いをすることが有ると思います。
で、次の企画は・・・、もうちょっと煮詰まってはっきりしたら連絡します。
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